2013年2月1日金曜日

白書や統計データをオープンデータへ。経済産業省が公開した「Open DATA METI」を使ってみた。

 経済産業省は2013年1月28日、経済産業省がオープンデータを実現していくための実証用サイト「Open DATA METI」(β版)(http://datameti.go.jp)を公開。

ビジネスなどの民間でもこれまで以上に利用しやすくするため、経済産業省が保有している白書や統計などの公表データを、より使いやすい形にして公開するためにつくられたものだそうです。
さっそく、サイトをチェックしてみました。



白書や統計などの公表データを、より一層活用しやすく。

サイトはβ版ということもあり、まだ完成途上という感じですが、シンプルに作られています。対象データを一覧表示、あるいは検索できるデータカタログによって、公開された情報を利用しやすくなっています。

現在公開されているデータは次の通りでした。
総合エネルギー統計 (22)
商業動態統計調査 (17)
通商白書 (11)
中小企業白書 (10)
工業統計調査 (9)
エネルギー白書 (9)
知的財産活動調査 (7)
商業統計調査 (6)
経済産業省企業活動基本調査 (5)
中小企業実態基本調査 (1)

エネルギー関連のデータを見てみましたが、リストは見やすいです。何件ダウンロードされているかも表示されていました。

資料の種類にもよりますが、データは主に次のような形式で提供されていました。
xls pdf html XLS PDF zip XML HTML xlsx pptx
ざっと見た感じエクセルが多そうなのは、統計処理や再加工に便利そうです。データベースが充実していけば、オープンデータの利用は、これまでよりも快適になると思います。


ライセンスはクリエイティブコモンズ(表示 2.1 )

「Open DATA METI」のデータは、クリエイティブ・コモンズ(CC)の「表示2.1」ライセンスで提供されています。CCライセンスはインターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指した国際的ライセンス。様々な作品の作者が自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするためのツールです。

ライセンスには6つの種類がありますが、「Open DATA METI」では、「表示2.1」という、原作者のクレジット(氏名、作品タイトルとURL)を表示することだけ守れば、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可されるという最も自由度の高いCCライセンスを適用しています。

クリエイティブ・コモンズについてご存じない方は、こちらのサイトをどうぞ。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは 
 (creative commons JAPANのサイト)


オープンデータアイディアボックス

「アイディアボックス」は、投票機能付き電子掲示板のようなもので、参加者から集まる意見を集約していくためのツールです。人気のあるアイディアの抽出や、多くの人が賛同する意見を集約するために、これまでも電子政府に関するアイディア収集等、内閣官房、経済産業省、文部科学省、観光庁等で活用されてきました。

「Open DATA METI」でも、「オープンデータアイディアボックス」として、このツールを採用。「どのような利用のアイディアがあるのか」、「どのようなデータ公開を望むのか」、「公開や利用のルールはどうあるべきか」等、様々な意見を集め、参加者の議論を参考にしてオープンデータの推進を加速させるために、活用するようです。



「オープンデータアイディアボックス」を利用するには会員登録が必要。登録するとマイページができて、意見の投稿などができます。実施期間は、2月1日(金)から2月28日(木)までのようです。



日本は、政府のデータの電子化や公開が遅れているので、このような取り組みはいいですよね。「Open DATA METI」のサイトは、Wordpress(オープンソースのひとつ)でつくられていました。また、「オープンデータアイディアボックス」では、SNS連携などもなされていて、「結構、ソーシャルなんだなあ」と思いました。まあ、それくらい当たり前ですか、経済産業省ですから・・・。

<リンク>
「Open DATA METI」のサイト

2013年1月31日木曜日

未来を予測する年表。(オンライン版)

博報堂生活総研オンラインの「未来年表」をご存知ですか?これ、すごく面白いんです。

「未来年表」は、未来予測関連の記事やレポートから「○○年に、○○になる」といった情報のみを厳選し、西暦年や分野ごとに整理した未来予測のデータベースです。

 2100年までの各未来予測データが掲載されていて、毎月10日に更新されていきます。ページ上部には、 「TOTAL FUTURE」として、未来年表に収録されている未来予測デー タ数の累計が表示されますが、現在は、19438件です。


未来を検索してみよう!

データは、フリーワード、西暦年数、分野、索引で、検索できます。
ためしに、キーワードで検索してみましょう。私の関心分野でもある「雇用」で検索してみると、
162 ミライ」がヒットしました。

 そして、各データ項目をクリックすると、以下の項目が書かれています。
・「類型」(予測、推計、計画、政策目標、決定 など)
・「出典」
・「資料名」
・「発表時期」
・tweetもできます。

例えば一番下のデータ。もし、あなたが金融業界にお勤めなら、ちょっと気になって、くわしく調べてみようかな・・・って気になりませんか?
そんな感じで、関心分野で検索したり、「自分が○○歳になる西暦年」で検索したり、いろいろやってみると、考えるきっかけになりますよ、きっと。よろしければ、お試しください!

<リンク>
博報堂生活総研オンライン「未来カレンダー」
http://seikatsusoken.jp/futuretimeline/

2013年1月30日水曜日

敬老とは?

混雑した電車のシルバーシートの前で吊革につかまりながら、先日、ある食事会で出た世代間格差の話を思い出しました。
「高齢世代の中に、自分たちが受けているさまざまな受益は当然の既得権だといわんばかりの人がいるけど、少しは若い世代への配慮を持つべき。」そんな話をしていた時、「でも、高齢者を敬うという気持ちを子供に教えることは大切なのではないか?」という投げかけをした人がいました。


あらためて、老人を敬愛すること、つまり敬老精神とは一体、何なのでしょうか?
私も、こどもの頃に「お年寄りを敬いなさい」と教えられました。また、ごはんを食べるときには「お百姓さんに感謝して、残さずいただきなさい」とも言われました。子どもの私は、「誰かの生産活動のおかげで、自分が今ここに存在したり、ごはんを食べている。そのことに感謝をしなさい」ということだと理解していました。

でも、「敬老の日」は国民の祝日ですが、「敬農の日」はありません。日本では敬老精神は特別なもののように扱われてきた面があって、それは、長幼の序という文化概念によるものではないかと思います。それは年 長者と年少者との間にある秩序を現わす概念で、「子供は大人を敬い、大人は子供を慈しむというあり方」で、若者が一方的に高齢者を尊敬するというものではなく、高齢者から慈しまれる存在として、そのことも含めて年上の方々を敬おうという文化であると思います。

年下の者が敬うと同時に、年上の者が慈しむのが人間関係なのですから、一方通行の関係であってはならないし、年上の者にも敬われるにふさわしい器量なり、相応の態度が求められて当然だということになります。

 「敬老の日」の法的定義は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」です。
人が「老いていくこと」への敬意とは、すなわち「生きること」への敬意の象徴ではないかと思いますし、同時に、祖父母から親、そして自分へとつながる連続性への敬意であり、自分から子や孫につなげるべき連続性への責任にもつながると思います。
生きて、何かを生産し(つまり、社会につくし)、次につなぐ。その循環の象徴として、お年寄りを敬うという文化があったのではないでしょうか。それは、「今現在のお年寄り」だけを敬うこととは少し違うのではないかという気がします。

団塊世代を中心とする60代以上の生涯純受益は「プラス4000万円」である一方、10代以下の将来世代の生涯純受益は「マイナス8000万円」。将来は、若者一人がお年寄り一人を支える肩車型になる。そんな数字が頻繁に報道される状況でも、自分の権利を主張する高齢者がいたとしたら、やはり、心から敬う気にはならなくても仕方ないのではないでしょうか?(数字は、厚生労働省のデータによる。くわしくはこちらに書いています)

もうひとつ、敬老という時に、「お年寄りを大切にする」=「弱者にやさしくする」というニュアンスが含まれているように思います。
例えば「お年寄りに席を譲りましょう」と子どもに教えることはいいかもしれません。でも、それは、高齢者だけではなく、障がいのある方や子供連れのお母さん、もしかしたら疲れ切ったビジネスマンに対しても、同じく向けられていいもののはずです。
薄給の深夜勤務でくたびれ果てた非正規労働の若者や、ぐずる子供に困っている母親を目の当たりにして、「わしは年寄りだから当然」と席に座る高齢者がいたら、敬う気にはならないのではないでしょうか。今の世代間格差は、いわば、それと同じような状況だと思います。本当の弱者は誰なのか?それが見えにくい時代なのかもしれません。



「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」
そのことに異論はありませんが、少なくとも、「お年寄りを大切にする」という美名で、世代間格差の解消を先送りするわけにはいかないと思います。そこから、敬老精神が崩れていく可能性すらあるのではないのでしょうか?
子どもに、正しい敬老精神や、弱い立場の人や困っている人への思いやりを教えることは大切かと思いますが、同時に、いまの日本の現状をきちんと教え、これから大人になり将来の社会を担っていく彼らがきちんとものごとを考えられるようにしていくことも大切ではないかと思います。

もちろん、それは社会を構成する全員が考えていくべき課題であることは、いうまでもありませんが。

2013年1月10日木曜日

NRI未来年表

野村総研の「NRI未来年表」、2013年版がアップされていました。
2013年~2060年までの未来予測をA31枚にまとめてくれています!

今後予定されている出来事を「政治・社会」「経済・産業」「国際」の軸で整理し、さらに、NRIが書籍やセミナーなどで発表している様々な予測を「NRI予測」として、コンパクトにまとめた年表です。





2013年から2060年までを、1枚のマトリックスに。

 将来の社会の大きな動きが一覧でき、大まかに俯瞰してみたいとき、手軽に役立つ年表です。
A3に収まってくれるのもうれしいポイントです。



 付録として1945年から2012年までの「過去年表」もついていて、これも意外と便利です。
















iPADから見れるようにEvernoteなどに転送しておいたり、プリントアウトして手帳にはさんでおいたりすると、便利に使えます。私は、電車で移動中の空き時間などにも、時々ながめています・・・。

よろしければご活用ください!

<リンク>
NRI未来年表
このページから、PDFファイルで年表をダウンロードできます。

2012年12月29日土曜日

ゲーミフィケーションについて考える。

ここ1年くらいで、「ゲーミフィケーション」という言葉をよく耳にするようになりました。でも、日常会話でもよく使っていながら、あらためて「ゲーミフィケーションって、何?」と聞かれると、説明するのはなかなか難しい概念です。このあたりで、一度、まとめてみようかと思います。

具体的な事例から考えてみましょう。

まず思い浮かべるのは教育分野です。例えば、「質のよい教育を、すべての人々のために」を理念とする、すばらしいオンラインラーニングサイト「カーンアカデミー(khanacademy)」。「教育の未来とは、こういうものになるのではないか」と言われるほど高い評価を受けていますが、「ゲーミフィケーション」を効果的に取り入れたサービスとして有名です。

カーンアカデミーは、サルマン・カーン氏により立ち上げられた非営利教育団体で、世界のトップクラスの講義を無料で提供しています。数学のコンテンツが有名ですが、他にも科学、歴史、生物、経済等の多様な科目で、2600本以上のビデオと自主学習用資料を有し、世界中で学ばれています。これまで教育を受けることができなかった発展途上国では、学校教育にも活用され、教育機会の拡大に貢献しています。

カーンアカデミーのシステムは、本当によくできており、それぞれに適した速度で学習できるようになっています。生徒と先生をグループ化して、生徒の学習の進捗をモニターできるしくみも提供され、学校の授業にも活用されています。

学習ムービーに他の生徒のコメントがついていたり、学習の達成に応じてバッジがもらえたり、知識マップがビジュアルに表示されたり、学習者が意欲をもって学び続けられるゲーム的要素を導入して、様々な工夫で学習能率をあげようとしています。

カーンアカデミーについては、「SMATOOS」のサイトにわかりやすい説明があります。
多くの人達がカーンアカデミーを選ぶ理由。
http://jp.smatoos.com/?p=264


マーケティング分野では、「Nike+ 」がよくとりあげられます。
ゲーミフィケーションの事例としては必ずといっていいほど紹介されるものです。

「Nike+ 」は、ナイキが販売するNike+専用ガジェットを購入することで参加できるサービスです。専用ガジェットはシューズに取り付けるタイプ、腕時計タイプ、ブレスレットタイプなど複数用意されていて、利用者の活動・運動を測定することができます。走った距離、消費したカロリー、歩いた歩数などを自動的に記録し、ネットに接続することでデータをNike+上にアップロードできます。アップされたデータは日々蓄積され、自分の活動状況がビジュアルにグラフなどで表現されます。





毎日の目標を自分で設定し、活動データを蓄積。目標の達成状況に応じて様々なバッジが付与されたり、Facebookと連動することで、Nike+を使っている友人と運動量による「ランキング」が表示されるようになっていたり。運動を続けるための心理的動機付けを与え、意欲を高めるためのこれらの工夫には、「ゲーミフィケーション」の考え方が取り入れられています。


ゲーミフィケーションとは?

以上の例から、ゲーミフィケーションをひと言で言えば「ゲームで使われている動機付けのしくみを活用すること」だと言えるのではないかと思いますが、 IT Proのサイトでは、以下のようにまとめられていました。
ゲーミフィケーションは、ゲームを独自の視点から眺めます。ゲームで遊んでいる人は、お金をもらうためにゲームで遊んでいるわけではありません。自分でやりたいと思ってゲームをし、時に多くの時間を投じ、複雑なルールであっても自ら進んで覚えようとし、うまいやり方を試行錯誤を通じて学習していきます。ゲームが人をこのようにさせる仕組みに注目するのがゲーミフィケーションの視点です。よくできたゲームに人は夢中になりますが、それはこの仕組みを備えているからと言えます。つまり、ゲームとは人を動機付ける仕組み、「動機付けエンジン」を備えている娯楽コンテンツであると考えられます。ゲーミフィケーションとは、この「動機付けエンジン」は実はゲームでないものでも機能する、という発想を具体化する取り組みのことを指します。

IT pro「企業のためのゲーミフィケーション」より引用
第2回 ゲーミフィケーションとは?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20121225/446592/

ゲーミフィケーションというと、娯楽性と誤解している人もいるようですが、そうではなくむしろ、「夢中にさせてしまうメカニズム」の方にポイントがあります。

私は以前、ヘルスケア分野のウェブサービスの開発に関わった経験がありますが、その際にも、いかにすれば健康のための習慣を継続させる「動機づけ」を行えるかは、大きなテーマでした。その頃にも、ゲーミフィケーション的な発想はありましたが、その実現は困難でした。しかし、その後インターネット技術は急速に進化し、できることは飛躍的に増えてきていると感じます。ソーシャルツールなどを含め、インフラが整ってきたことで、ゲーミフィケーションの発想は、より実践しやすくなってきています。

マーケティング分野でも、マイレージプログラムなど、動機づけを目的とするしくみはたくさん導入されてきました。しかし、「ゲーミフィケーション」は、人間の感情や習性を巧みに利用したゲームのメカニズムを取り入れることで、それらを高度化し、より有効なプログラムにしていこうとする点が新しいのだと思います。マーケティング分野だけでなく、教育、ヘルスケア、スポーツ、社員教育、福祉、社会問題、政治の分野など、実践の領域は無限とも言えます。

接客やマネジメントなどのノウハウの開発においても、「ゲーミフィケーション」の成果を応用できる余地は大きいのではないかと思います。「ゲーミフィケーション」の概念を明確化することで、わくわくするようなアイデアが生まれてくるような気がします。


2012年11月30日金曜日

日本の「子供」の総数は、なんと8,700万人!?

博報堂生活総合研究所は、毎年末に翌年以降の生活者動向を予測する「生活動力」を発表していますが、今回、2013年に向けて提言するテーマは「総子化(そうしか)」。少子高齢化により、「子供」が増えているというのです

いわゆる未成人の「子供」は減っているけれども、長寿化により、親が健在であるという意味での、「子」の属性を持つ人の数は増えている。
つまり、40歳でも、50歳でも、60歳でも、親が健在であれば、「子供」。そういう前提でをカウントすると、日本の「子供」の総数はなんと8,700万人にもなるということでした。

そこに、「少子化」ならぬ「総子化」という切り口が見えてきて、新しいマーケティングの可能性があるのではないかという提言がなされています。



総子化」で、どうなる?

プレスリリースから主なポイントを抜粋してみます。

<増える中高年チルドレン>
親が存命の『成人子供』人口が総人口の約半数に
・未成年ではなく、成人であり、かつ自分自身の親が存命である「成人子供」が増加している。
・1950年には総人口の29.0%にとどまっていた成人子供の割合は、
 1965年までに未成年子供人口の割合と逆転、2000年には総人口の約半数を占めるに至った。
・2010年の総「子供」数は成人子供と未成年子供で8,700万人へ。
・特に30代以上の「中高年チルドレン」が増加。2030年には総人口の約4割を占める見込み。
・対して未成年子供人口の割合は一貫して縮小。
この大きな流れは変わることなく未来へと続いていく。

<子供平均年齢、30歳超え>
2010年の子供平均年齢は32.8歳、2030年には36.7歳に
・「子供」が高齢化している。
・高齢化と少子化が同時に進行することで、子供の平均年齢は5年に1歳程度のペースで上昇
・1990年代には20歳台だった子供の平均年齢は、2000年に30歳の大台を超え、2010年には32.8歳。2030年には36.7歳になると予測されている。
日本は今、世の中を支える「大人」が「子供」であるという新しい構造の社会へと突入しつつある。

<親子60年時代へ>
親子共存年数は約60年に
人生の3分の2以上を子供として過ごす時代へ
・「子供」の高年齢化と、平均余命の伸びとともに、生まれてから親を看取るまでの「親子共存年数」も長期化。
・1955年の親子共存年数は父親45.5年、母親51.9年だったが、2000年には父親50.7年、母親59.4年となり、親子の共存年数は約60年に達した。
2030年になってもこの年数は変わらず、生まれてから約60年間、人生の3分の2以上を「子供」として過ごす時代。子供のまま還暦を迎え親に祝福される人や、子供のまま役員や社長になる人さえ珍しくなくなる。

生活が変化する?

こうしてまとめられてみると、なんだか、すごいことになっている感じがします。でも、考えてみれば、私自身、父は、早くに亡 くなりましたが、母はまだ存命で、私が60歳になるまで生きる可能性はあります。まわりを見ても、「(自身が)還暦を越えても、親がまだ元気」という人、 結構いますね。

博報堂生活総研では、総子化による、これからの生活変化を次のように予測しています。


1.家族の変化:「核家族」から「一族発想」へ
総子化時代には、普段は核家族として分散している個々の子供たちの力を集結させ、“一族”というチーム力で困難かつ透明な時代を乗り切ろうという「一族発想」が強まると考えられる。

2.親子の変化:「上下反発」から「水平協働」へ
長期化する親子時間により、年齢の上下関係から親と子が解放され、反発しあう対象から、お互いに年を重ねてきた大人として「水平協働」する対象へと変化。親子一緒の消費が活性化するだけでなく、親子で移住や起業などの新展開も考えられる。

3.生き方の変化:「早く大人に」から「子である自由」へ
昔は「早く一人前に」が親孝行でしたが、今や親は長く元気で健在、生活能力もある。子供の気持ちの中には自然に「子である自由」が生まれ、大人としての自覚を持った上でのアグレッシブな挑戦や冒険をする人が出てくる。学び方や働き方を中心に、自分の人生を俯瞰的に捉える個人が増えていく。

「総子化時代のマーケティングチャンス

以下のような切り口があげられています。

1)子供のポジティブ面から発想した新しいターゲット設定や消費行動の創出
親子共学
40代「隙間貴族」
開業女子
老老起業
こども定年

2)親族のつながりを支援する新しいライフスタイルの実現や生活インフラの整備
一族ハウス
ノマド育児
2世代コンテンツ
100超え親子旅行
『○○の日』コンシェルジュ

いやぁ、なかなか、おもしろいです。
以上の内容は、博報堂生活総合研究所RESEARCH NEWS 「生活動力2013」 を出典とし、その一部を抜粋して、まとめたものです。詳しくは、以下のページでご覧ください。

<リンク>
博報堂生活総合研究所RESEARCH NEWS 「生活動力2013」 
プレスリリース(PDF)

2012年5月28日月曜日

シニアが社会に役立つために。

NPOは、定年後の経験豊富なシニアの力をかりたいと思っているが、その一方で、不安も大きい。
そんなデータがありましたので、ご紹介します。
少し古いデータになりますが「シニア世代活用」に関するアンケート調査です。
(データ引用:2009.3「再チャレンジのきっかけとしてのNPO雇用状況アンケート調査報告」 再チャレンジ学習支援協議会)

経験豊富なシニアへの、期待と不安。

「定年退職後のシニア」を求めているNPOは78%。
多くのNPOがシニアの力を活用したいと考えています。

具体的に力を貸してほしいと考えている事項としては、以下のようなものがあります。
  • 前職のスキル
  • 人脈
  • 組織運にすぐれた点を生かす

しかし、実際の受け入れは、不安。 

ニーズはあっても、実際にシニアを受け入れることには、失敗経験を含め、いくつかの不安があるようです。


上位にあげられているのは、表現こそ違えど、同じような指摘です。それは、「ビジネス分野でのキャリアや成功体験があるからこそ、そこからの意識転換が出来ず、新しい組織への理解や柔軟性が求めにくいのではないか」、という不安です。


意識を変えれば、第二の人生が充実する。

NPOだけではありません。先日お話を聞いた、キャリアシニアを専門に扱う人材派遣会社でも、同じような課題に直面していて、最初は「仕事があるだ けでもありがたい」「何でも、やります」と言っていたシニアが、徐々に給与条件や労働条件での不平をもらすようになることが多いのが悩みなのだそうです。

アメリカなどでは、重役まで行った人が、リタイア後、警備員や駐車場係などの仕事を始めた場合には、陽気に楽しく働いて人気者になったりもするそうで、それはおそらく「ここからは、次のフェースだという切り替えがはっきりしている」のではないかということでした。

また、いまは、年金支給年齢との兼ね合いで、定年延長や再雇用が企業に義務付けられるようになりましたが、そこでも、肩書きを失ったり給与が下がっ たりすることにより、モチベーションが低下することが、ひとつの問題としてあげられ、企業の人事部の課題になりつつあるそうです。

あまりにも長くひとつの会社にいると、知らず知らずのうちに、ひとつの価値観や成功体験に縛られ、そのことさえ自覚できなくなりがちです。早く、そこから抜け出して、次の価値観を見つけることが、まずは、より有意義なセカンドライフへの第一歩ではないでしょうか。