2011年10月19日水曜日

生活保護の最新実態(2011.11)

生活保護を受けている人が205万人を超えたというニュース。
戦後の混乱期をも上回り、過去最多だそうです。一体、この国はどうなっていくのでしょう。

戦後の経済成長と共に、社会も豊かになり、生活保護の世帯数が最も低くなったのは1995年度。それと、2009年を比較してみます。
総受給者数2.3倍 (支給総額は3兆円を突破)
高齢者世帯2.2倍(高齢者数は1995年から2009年にかけて1.6倍程)
母子世帯2.2倍 56万世帯
その他世帯4.2倍 17万世帯
(1995年度→2009年度比)


「その他世帯」の増加が突出しているが、リーマンショック以降、20代~50代の働く世代の受給が急増しており、貧困な高齢者や病気、障害を持つ人 といった生活保護本来の対象以外で保護を受けている受給世帯は、全体の16%にものぼる。その多くが、「職を失ったまま再就職先がみつからない人」や、 「雇用保険に入れない非正規労働者として働いていたが、失業によって生活保護に頼らざるをえなくなった人」たちだといわれています。

テレビで、何度も面接に落ちるうちにやる気を喪失し、あきらめて行く人の取材番組をみた時には、切ない気持になりました。甘えすぎだという意見にももっ ともな部分はあるかもしれませんが、これらの世帯が経済の悪化の直撃を受けていることは言うまでもなく、自己責任といってしまうには、現実はあまりにも厳しいとも感じ ます。

高齢者の受給世帯数の増加が、高齢者数の増加率に比べて高いことも、気になります。
暮らしていけないお年寄りが以前より増えているということですから。高齢化がますます進む中で、独り暮らしで頼る人がいないまま、困窮するお年寄り。低年金・無 年金で、生活保護を申請するしか生きるすべがないお年寄り。それが、この調子で増えていけば、社会保障にかかる費用はとんでもないことになってしまいます。

一方で、いま、若い層を中心に、国民年金を払わない人が40%もいる(この数字には異論もあるが、ここではそういう人が多いと言う傾向としてとらえておく)状態では、そのままでは将来の無年金者がますます増える可能性もあります。

雇用、最低賃金、年金、医療・福祉など、現行制度のさまざまな不備や綻びが、最後のセイフティネットである生活保護受給者数増加と言うかたちであら われ、国や地方の財政を圧迫しています。そんな中で、生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」や、経済力があるのに保護を受ける不正受給などがはびこっている 現実もあり、状況は非常に複雑かつ深刻になっています。社会保障トータルな視点での改革が必要・・・とよく言いますが、いまの日本に、それができるのだろうか。。。と、途方に暮れる気がします。
厚労省によると七月は六月から八千九百三人増加。世帯数では百四十八万六千三百四十一世帯(前月比六千七百三十世帯増)で最多を更新し続けている。
九日の発表で生活保護の受給者数が過去最多を記録した背景には、雇用環境の悪化で働き盛りの世代が職を失い、多くが「働きたくても働けない」状態を余儀なくされている事情がある。東日本大震災などの影響で、事態はより深刻化する可能性もある。
従来、生活保護受給は高齢者が大半を占め、働き盛り世代は少数だった。様相を変えたのは二〇〇八年秋のリーマン・ショック。同年末には都心に「年越し派遣村」が現れたほどだ。以降、働ける年齢層の「その他世帯」が一気に増え、〇七年度から二倍以上に拡大した。
だが労働市場は狭まるばかり。有効求人倍率は〇七年度平均の一・〇二倍から〇九年度は〇・四五倍に低下した。政府が今年十月に始めた「求職者支援制度」は職業訓練を通じ就労に結び付ける試みだが、これほど雇用が低迷すると実効性に疑問符も付く。
もちろん高齢者の貧困防止も大切だ。年金、医療を含め社会保障全体の機能強化が求められる。

以上、東京新聞より引用
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011110902000188.html

0 件のコメント:

コメントを投稿